第2回 国際地学オリンピック

開催概要

大会名称 2nd International Earth Science Olympiad
会期 2008年8月31日 - 9月6日
会場 フィリピン共和国(マニラ大学ほか)
大会日程 (記事掲載当時の予定)
8/30 会場入り、参加登録受付
8/31 開会式
生徒:文化的・産業的エリアの視察、各国交流会
評価委員会:試験問題の承認及び翻訳
9/1 生徒:筆記試験
評価委員会:実技試験問題の承認及び翻訳
9/2-3 生徒:野外実技試験
評価委員会:野外実技試験同行
9/4 生徒:現地生徒との交流会
評価委員会:評価査定
9/5 閉会式
9/6 解散
国内選抜

出題・解答


最優秀賞(国際大会派遣候補者)

※学年は、平成20年6月現在
  • 森里文哉 もりさとふみとし 香川県立丸亀高等学校3年
  • 雪田一弥 ゆきたかずや 青森県立青森高等学校3年
  • 平島崇誠 ひらしまたかまさ 石川県立金沢泉丘高等学校2年
  • 日野愛奈 ひのあいな 愛媛県立松山南高等学校3年

優秀賞

  • 青山芳樹 あおやまよしき 青森県立青森高等学校3年
  • 冨永紘平 とみながこうへい 埼玉県立川越高等学校2年

結果

※学年は、平成20年9月現在
銀メダル銀メダル 森里文哉 もりさとふみとし 香川県立丸亀高等学校3年
銀メダル銀メダル 雪田一弥 ゆきたかずや 青森県立青森高等学校3年
銀メダル銀メダル 平島崇誠 ひらしまたかまさ 石川県立金沢泉丘高等学校2年
銅メダル銅メダル 日野愛奈 ひのあいな 愛媛県立松山南高等学校3年

部門賞

地質・固体地球科学部門1位

森里文哉 もりさとふみとし 香川県立丸亀高等学校3年

国際協力野外調査ITFIフィールドワーク賞1位

国際混合チーム・グループ1−4メンバー(日野愛奈さん所属)

なお金メダルは、台湾と韓国からの生徒が2個ずつ受賞(金・銀・銅メダルの個数は、大会規定により、登録参加国の参加者数(1カ国4名)の10%が金メダル、その2倍が銀メダル、その3倍が銅メダルとなっています)国際大会での筆記試験・実技試験は、地質・固体地球科学部門、気象・海洋科学部門、天文・惑星科学部門の3部門に分かれています。筆記試験では、3部門の配点が、順に45%、35%、20%となっています。また、筆記試験と実技試験の配点比率は7:3となっています。総合成績とは別に、各部門の筆記試験・実技試験の合計得点1位の者に部門トップ賞が与えられます。

出題・解答

※PDFファイルでご覧いただけます。 ※解答は発表されていません。

大会総評

2008年度日本選手団・団長 久田健一郎

第2回国際地学オリンピック(IESO)が、8月31日から9月8日までフィリピンで開催されました。筆記・実技試験はケソンのフィリピン大学で、フィールドワークは場所を移して、マヨン火山麓のレガシピで行われました。

登録参加国 は8ヶ国で、実際に参加した生徒は、フィリピン、日本、韓国、台湾、アメリカ、シンガポールからの6ヶ国24名でした。インドネシアはオブザーバのみで生徒の参加はなく、モンゴルは直前のキャンセルでした。

日本チームは、初めてのオリンピック参加にもかかわらず、銀メダル3個、銅メダル1個の素晴らしい成績でした。その内訳は以下のとおりです。
銀メダル
森里文哉(もりさとふみとし:香川県立丸亀高等学校3年)
雪田一弥(ゆきたかずや:青森県立青森高等学校3年)
平島崇誠(ひらしまたかまさ:石川県立金沢泉丘高等学校2年)
銅メダル
日野愛奈(ひのあいな:愛媛県立松山南高等学校3年)

このほか部門賞として森里文哉君は地質・固体地球科学部門で堂々の一位でした。
さらに国際混合チーム(グループ1−4)で競うフィールドワーク・コンテストでは、日野愛奈さんのグループがベストフィールドワーク賞を受賞しました。

なお金メダルは、台湾と韓国からの生徒が2個ずつ受賞しました。金・銀・銅メダルの個数は、大会規定により、登録参加国の参加者数(1カ国4名)の10%が金メダル、その2倍が銀メダル、その3倍が銅メダルとなっており、今大会では、それぞれ4個、8個、12個でした。また筆記試験 (3時間;100点満点)は、地質・固体地球科学部門が45%、気象・海洋科学部門が35%、天文・惑星科学部門が20%の構成比となっています。実技試験も同様の3部門で構成され、それぞれ10点が与えられます。金・銀・銅メダルは、この筆記試験と実技試験の合計点130点で決定します。

フィールドワークでは、マヨン火山麓で、「自然と人間生活」をテーマに、現地での露頭観察や村民へのインタヴューがグループごとに行われました。その記録をもとに、パワーポイントを用いた発表コンテスト形式で、発表内容・構成や成果などの観点で競われました。

各国選手団は4名の高校生と2名のメンター(公式役員)が基本的な構成で、各国の事情に応じて数名のオブザーバーが加わります。今回の大会にメンターとして参加した印象を以下3点にまとめます。
1.各国の高校生・教育者・研究者との国際交流や情報交換を図るには、絶好の機会でした。ただしIESOが今後更なる発展を遂げるためには、日本がIESOの運営により積極的に関わることを真剣に考える必要があるでしょう。とくに、世界の中で置かれた日本の立場を考えると、当然のことと思われます。また、地学オリンピックの基幹をなす3部門、すなわち天文学を含めた地学を創設した国である日本としては、積極的に地学オリンピックを「後押し」すべきでしょう。
2.今回は6カ国とやや少ない参加国数でしたが、そのような状況にあって、韓国と台湾の積極的な活動が目を引きました。韓国選手団は生徒を含めて15名、台湾選手団は同じく16名で、日本選手団は11名でした。その構成をみますと、韓国や台湾はそれぞれ教育関係の国の役人1名が含まれ、そのほかは選手4名と大学関係者となっています。一方日本選手団には高校の先生と看護士さんが1名ずつ含まれており、大学関係者は5名となっています。この選手団の人数は、金メダル獲得に向けたそれぞれの国の執念を感じさせます。とくに韓国選手団は、IGEO会長のChan Jong Kim氏と、IESO会長のMoo Young Song氏が加わっており、地学オリンピックへの真剣かつ積極的な取り組み姿勢を示しているといえます。
3.問題作成や採点にはメンターとオブザーバーが関わります。筆記試験、実技試験ともにそれぞれ3部門に分かれて検討することから、満遍なく試験問題を検討するためには、どうしても適正な専門家の人員配置をしなければなりません。また大会会場へ到着した直後から第3日目に実施される試験のために、試験問題の選択検討や、日本語への翻訳作業を行うので徹夜も余儀なくされます。さらに、試験直後から始まる模範解答の作成、採点基準の作成、解答の英訳、採点と続く仕事量を考えると、今後の大会選手団のメンターやオブザーバーの人員構成は、その専門領域はもちろんのこと、「体力」も十分考慮する必要があります。とくに、連日の寝不足の後に、気温36度以上の炎天下で行われたマヨン火山でのフィールドワークは、正直きついものでした。

今回、決して十分とはいえない研修の上での参加をせざるを得なかったにもかかわらず、生徒の皆さんの好成績という結果を得られたのは、わが国の地学教育が高水準であることを証明しているといえます。もちらん、すべて生徒諸君の実力があったからこそで、彼らの健闘をまず褒め称えるべきでしょう。本当によく頑張ってくれました。帰途で見られた彼らの笑顔は、今回のオリンピックにかかわった者達すべてのすくいであり、誇りといえるでしょう。
とはいうものの、初めての経験から様々な反省材料・今後の課題を得ました。第3回地学オリンピックは平成21年9月14日から22日まで台湾で行われます。 今回の経験をいかし、反省点を十分に踏まえた上で今後の参加を考慮していかなければなりません。

報告書

詳細な報告書はこちら(pdfファイル)をご覧ください。