私は現在、東京大学教養学部統合自然科学科認知行動科学コースに在籍しています。東京大学では、1・2年生は全員教養学部に所属し(前期教養)、3年からそれぞれの学部に移ります。ほとんどの人は教養学部以外の学部に進むのですが、私は3年以降も教養学部(後期教養)で学ぶことに決めました。後期課程の教養学部は文理にまたがる様々な分野の勉強をすることができます。私は、教養学部の中で理系分野の学科とされる統合自然科学科で、認知行動科学を中心に学んでいます。
私がこの学部・学科を選んだ理由は、東京大学で認知科学をメインに学ぶことができる唯一の場所だからでした。もともと脳に関する研究に興味があったのですが1・2年の前期教養で様々な授業をとった際に、認知脳科学の授業がとても面白かったのでこの分野に進むことに決めました。地学の方面に進むかこの分野に進むかでギリギリまで迷いましたが、結果的にこちらを選んでしまいました。
授業は認知行動科学に関わるものを中心に、統合自然科学科の別のコースの授業や、教養学部の他の授業もとることができ、自由度が高いです。中でも印象に残っているのは、必修科目としてとった心理学実験の授業です。少人数で心理学の実験を行い、それをまとめたレポートを作成するというものでした。毎週レポートを書かなければならない上に論文をたくさん読む必要があり、かなり大変でしたが、やりがいがあって楽しんでいます。
私は今年の夏から、教養学部の交換留学プログラムを利用してアメリカに留学することになりました。留学先では神経学を中心に学びつつ、現地での様々な活動に積極的に参加したり、どのように研究がおこなわれているのか見学したりしたいと思っています。
私が最初に留学に興味を持ったのは、国際地学オリンピックでの経験がきっかけでした。高校一年の時に、私は日本代表として国際地学オリンピック・イタリア大会に参加しました。他の国の選手との交流を通して、海外で学ぶことに強く興味を持ちました。また、大会中の経験から、皆が必要としていると思ったことは周りの人が先に動くのを待つのでなく、自ら率先してすることが重要なのだと実感しました。同時に、他国の選手はそれらが自然にできるということに強い衝撃を受けました。高校一年という時期に、海外の学生とともに過ごす機会があったことで、日本では学ぶことが難しい、様々な重要な考え方に気づくことができました。海外の学生と机を並べるという機会を通してこそ、このような学びを、身につけることができるのだと強く印象に残っています。